【レポ】土屋守スペシャルテイスティングセミナー @ウイスキーフェスティバル2018東京
今回は,ウイスキーフェスティバル2018東京で行われた,土屋守さんによるセミナー「スペシャルティスティング シングルモルトと出会って30年!!」の模様をお伝えします.
目次
「ハイエナのような皆さん...」
土屋守「お集まりいただいた,ハイエナのような皆さん...いや,違いましたか(笑)」
という調子で始まったセミナー.
始まる前の会場は緊張の様子でしたが,笑いでだんだんほどけていきます.セミナー受講者の中には著名人の姿もチラホラ.
土屋「このセミナーを行うに至った経緯ですが,私ももう長くはないかもしれない(笑)ということで,
皆さんと一緒に飲もうという会です.その前にせっかくなので私の経歴をご紹介します.」
ちょこちょこ笑い話を挟みながら,まずは土屋守さんの経歴をご自身で紹介されるところからスタートしました.

始まる前の会場は緊張した空気..笑いでほどけていきます.
土屋守さんの経歴
土屋「私は新潮社で働いていました.しかし32歳で『このままで自分は良いのだろうか』と思いました.
そこで,新潮社を2年間の期限付きで退社し,半年間,日本の英語学校に通いました.その後1年間,語学留学でヒースローに滞在しました.
しかし,若い子のすごさに圧倒され,英語は諦めてしまいました.そうは言っても退社は期限付きなので手ぶらで帰るわけにもいかず,とりあえず自分のやりたいことをやってみようと思いました.それは,大英博物館を見ることと,ネス湖でネッシーを見ることでした.
そして,英国でちょっと働いてみようと思いました.ちょうど英国情報を紹介する日本誌の編集の募集があり,応募したらなぜか編集長になってしまいました.そこで,自分が行きたいところに行って取材していたところで,ウイスキーと出会ったわけです.
土屋さんとウイスキーとの出会いが語られていきます.
土屋「1988年に1本のシングルモルトと出会いました.どうやら取材先の人と飲んでいて(記憶は無いのですが),その後ボトルがプレゼントされたのです.それは12年物のボウモア.こんなものは見たことがない.
原稿を書かなくちゃいけないのですから,このシングルモルトを調べるために本屋に行きました.そこで店員さんに聞くと,シングルモルトって何?と聞き返されました.
ここで,人がやっていないことなら自分がやろうかと思って,ウイスキーを始めたわけです.
当時はマイケル・ジャクソンとウォレス.シレルだけがバイブルでした.そうこうして共著のウイスキー本を出し,95年には小学館からシングルモルト大全を出したわけです.
以上が土屋さんがウイスキーを始めるまでの経歴です.土屋さんの語り口はテンポよく進んでいきました.
テイスティングアイテム
今回のテイスティングはこちら.
- ハイランドパーク12年
- アラン1995 Tsuchiee…’s Choice
- ボウモア1973 26年 土屋守シングルカスクコレクション
- グレングラント1954 ゴードン&マクファイル
- ハイランドパーク1958 40年

左から,ハイランドパーク12年,アラン1995,ボウモア1973,グレングラント1954,ハイランドパーク1958

左上から右に,ハイランドパーク12年,アラン1995,ボウモア1973,グレングラント1954,ハイランドパーク1958
ハイランドパーク12年
1990年代流通.今はシェリー樽100%ですが,昔は他の樽も使っていたようです.
熟成年数12年,シェリー樽熟成,43%.
色:赤黄色
アロマ:リッチナスモーキー,ココア,かすかにフルーツ.
フレーバー:麦.昔のシェリー.スウィートで絹のよう.レーズン.やさしい.余韻はドライ.舌にじんわり残る.
アラン1995 Tsuchiee…’s Choice
創業1995年のアランの,初年度ストック.名前はコニッサーズチョイスのパロディ(怒られる笑).
熟成年数9年,ホグスヘッド樽,57.9%.
色:白黄色
アロマ:ベッコウ飴.クリーム.トロピカルフルーツ.
フレーバー:フルーティ.追ってスモーキーが少し.舌にモルティ.じんわりと広がるカスクストレングス.
ボウモア1973 26年 土屋守シングルカスクコレクション
アイラブームの前のひっそりとしたうまさ.経験だけでやっているような時代のもの.
土屋さん曰く「麦芽が,酵母が,違う!」
熟成年数26年,バーボンバレル樽.51.1%.
色:琥珀色
アロマ:海苔.奥からリッチなスモーキー.
フレーバー:麦芽.軽くスモーキー.フルーティ.チョコ.リッチすぎる熟成感.余韻はピーティ.
グレンラント1954 ゴードン&マクファイル
石炭直火,フロアモルティング.酵母はエール.大麦はゴールデンプロミス以前のもの.
G&M の熟成庫はNo.2.下がじゅくじゅくで湿度が高いウェアハウスを選んで熟成している.
土屋さん曰く「能書きいらないですね...」
熟成年数51年.ファーストフィルシェリーバット樽,40%.
色:褐色
アロマ:熟成したリンゴ.チョコ.やばい.熟成香.リッチすぎるスモーキー.
フレーバー:高い熟成感.クリーム.リッチなタンニン.麦芽.チョコ.石.ほんのりベリー.飲みやすすぎる.理屈なしにうまい.余韻は非常に長く,リッチ.
ハイランドパーク1958 40年
石炭直火.ドイツ産のYマール大麦をフロアモルティング.
ほぼカスクストレングス.
土屋さん曰く「もう他のもの飲んでもしょうがないですね...フェスやめてこのまま帰っていいですよ(笑)」
熟成年数40年.スペニッシュオークシェリーホグスヘッド樽.44%.
色:褐色
アロマ:クリーミー.甘酸っぱさ.樹皮.森.底部にスモーキーさ.リッチなシェリー.ココア.
フレーバー:あーやばい.濃厚なシェリー.麦芽.苦みもやってくる.フルーティでクリーミー.樽.樽の香味と麦の香味がすごい.余韻は長く,甘い.クリーミー.
感想
とてもすごいテイスティングでした.
貴重なボトルが飲めてリッチなリッチな時間を過ごすことができました.
土屋さんにはお元気でいて頂いて,もっとウイスキーの魅力を伝えて頂きたいです.

講演後の土屋氏.
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